夜を繋いで君と行く

* * *

「んー…美味しい…クリスマス来たって感じする…全部作ってるんだもんなぁこれ…。」
「時間あったからね、今日は。律は本当に出ずっぱりだったね。」
「え、観てくれたの?」
「ずっとじゃないけど、キッチンでスマホ立てかけてちょこちょこ。新作のアニメもだけど劇場版も目白押しだね。」
「うん。まぁ、まだしばらくはそれなりの忙しさかもね。でもオーディションも落ちるときは落ちるし。」
「そっか。ひとまず疲れを明日に持ち越さないようにしてね。」
「…疲れは持ち越さないけど、いちゃいちゃはいつまで持ち越しですかー?」
「んっ!?」

 ほろほろになったじゃがいもを口に含んでいた怜花は思わずむせそうになる。目の前の人は少し拗ねた表情で、スプーンにのせたピラフを見つめていた。

「怜花のご飯食べれるのも、今日一緒に過ごせるのも嬉しいし、クッキーも美味かったし、明日もいてくれるってわかってるけどさー…。仕事が大事なのもちゃんとわかってるし、怜花がね、俺に仕事を放り投げてまで構ってほしくない人だってのも、ちゃんとわかってるんだけど…。」
「い…いきなりその…変なこと言わないで。むせる、普通に。」

 徐々に頬の熱が上がっている気がする。律は本当に気持ちを隠さなくなった。あえてなのかもしれないけれど、耐性のない怜花にはまだまだ恥ずかしくて、照れくさい。目が泳いでしまう。

「変なことなんて言ってないじゃん。大好きな人となるべく一緒に過ごしたい、いちゃいちゃしたいって普通のことじゃない?」
「食事中!」
「…ご飯終わったらいちゃいちゃタイム入る?」
「入んない!律は食休みしたら寝ます!」
「昨日もそれじゃんー。」
「だって明日も朝からでしょう?」
「怜花は寂しくない?俺だけ?寂しいの。」

 律はいつもなら食事は楽しく食べるタイプだ。だからこそ、食事中にこんなことを言うのは珍しい。疲れていて、心まで参っているのかもしれない。それこそ、怜花のご飯だけではカバーできないくらいには。忙しさを思えば仕方のないことのようにも思えて、怜花は泳いでしまっていた視線をなんとか律に戻して、口を開いた。

「…律が楽しく、美味しく食べてくれるんだろうなって思いながらご飯作ってる間も、待ってる間も、…そうだな、そんなに寂しくなかったかも。だってここに帰ってくるのはわかってるんだもん。律は外に出て、色々気を遣って疲れちゃったかもだけど、私は律の空間に居たから寂しくなかった。ごめんね、寂しい思いさせちゃって。」