夜を繋いで君と行く

* * *

「おおお…。」
「手際よく!」
「はい、先生!」

 腕まくりをした律は型抜きに夢中だった。生地が緩んでくる前にサクサクと型を抜いて、クッキングシートの上に並べていく。律は不器用なわけではない。要領を掴めばスピードはすぐに上がった。

「あのキラキラはつけてもいいの?」
「あ、そっか。うん、グラニュー糖用意するね。」

 怜花は小皿にグラニュー糖を出した。そして星の形をしたクッキーを一枚手に取った。それをグラニュー糖の上に一度置き、少しだけ押し付けてからひっくり返してクッキングシートの上に置き直す。

「こんな感じで。」
「え、なんか絶妙な力加減じゃなかった?押すの?押していいの?」
「ちょっとぐって押さないとつかないの、グラニュー糖が。だから大丈夫。あと、食べるの私か律だし、変になっちゃっても大丈夫だよ。」
「そっか。…そうだね。じゃあキラキラが合いそうなやつにしよ。」

 少しだけ律がやるところを見守って、怜花は同時に夕飯を温め直し始めた。

「シチューにはパン?それともご飯系?」
「え、それ、選択肢がある感じなの?」
「うん。どっちも準備してるよ。どっちでもいいよ。」
「どっちでもいいって何!?」
「…言葉通りの意味だけど、どっちでもいいの、本当に。フランスパンあるから少し焼いてカリカリにしてもいいし、バターライスでもピラフでもそうだな…チキンライスでもいいよ。ご飯もあるし。」
「待って待って。多すぎて選べない!何?なんでそんなにいっぱいあるの?」
「任せてって言ったからね、私。本当にどれでもいいよ?」
「うー…全部食べたいじゃんそんなの…でもさすがにそんなには入らない…。」

 型抜きはしつつも真剣に悩み始めた律に、怜花はくすっと笑った。

「明日の朝もどっちでもいいから、今の気分で食べたいの言ってよ。それに今日作れなくても、別の日でもいいんだし。」

 怜花のその言葉に律は目を丸くしたが、すぐに目を細めて微笑んだ。

「じゃあピラフがいい。」
「うん。律は型抜き頑張ってね。私はこっちに専念しちゃうけど、大丈夫?」
「うん。クッキーはお任せください!」
「頼もしいね。」

 ホワイトシチューとピラフ、そしてほうれん草とコーンのツナサラダ。ローストチキンを温め直したら完璧だ。