夜を繋いで君と行く

「…とはいえ、帰りたいね、家に。」

 律のその言葉に、3人は同じ表情を浮かべて言葉をなくした。

「え、何その顔。3人して面白いくらい同じ顔してんだけど。」
「あ、いや…。」
「お前もそんなこと言うんだな。意外だわ。」
「ええ~恋する男じゃん~!二階堂のこと俺、初めて可愛いって思った~!可愛いな~この野郎!」
「うわうざ!もう放っておいてくれる?お前らはどうせ夕方には家にいるじゃん!」

 そう言って机に突っ伏した律を見て、3人は顔を見合わせて笑った。
 丁度その時、三澄と律のスマートフォンが同時に震えた。怜花からのLINEに律はがばっと起きて、すぐに開いた。

『今日、三澄さんと同じステージって言ってたよね?この写真を見せて、三澄さんを悶絶させてほしいな。』

 そのメッセージと共に添えられた1枚は、里依が意外と大きな口を開けてパンケーキを食べるところだった。少し口元にクリームがついている。そしてなんだかいつもと雰囲気が違っていて、髪も毛先がくるくると巻かれているし、耳にはイヤリングが光り、メイクも律が記憶しているよりもはっきりとした感じだ。

「…二階堂、もしかしてそこに、里依さんの写真来てない?」
「…ってことはさ、俺が欲しい写真は絶対そっちじゃん。」
「俺が欲しい写真はお前が持ってんの!今日二人が会うって知ってたけどさ~!一橋さんと会う時って、メイクしてもらうの結構里依さんが気に入ってて、一橋さんも気合入るみたいで毎度雰囲気違う感じで仕上げてくれるんだよ…。」
「…面白いね、ってか何やってんだろ、怜花。なんで自分のメイクじゃなくて椎名さんのメイクで気合入れんだろ。…ぽいけどさ。」

 クリスマスイブに彼氏は朝から不在。そんな彼女たちはパンケーキデートで楽しく過ごしているようだ。

「二階堂、ここは交換というか、俺に送ってよそれ。」
「いいよ。でもとりあえずまずは見て悶絶してよ。怜花の自信作っぽいし。スマホ交換して。」

 律は三澄にスマホを渡した。三澄からスマホを受け取った律は、ゆっくりと画面を見た。

『お仕事中にすみません!怜花が私の変なところを二階堂さんに送っちゃったみたいなので、やり返してもらってもいいですか?』

 普段温和そうな彼女からやり返すという言葉が出てきて、律はふっと笑ってしまったが、スクロールして出てきた写真が可愛くて、律の笑みは増した。