「何、隠したの?」
「っ~…!」
律はあえて低く、甘えたように囁いた。怜花の耳はみるみるうちに赤く染まった。手には食器とスポンジがあり、手を拭くことができなくて逃げられもしない状況で、怜花は首を限界まで曲げて下を向いた。
「白状するまでやめないぞ~。」
「耳元で言うの、ずるい…!」
「怜花も俺の耳元で白状する?それでも全然いいけど。」
余裕たっぷりの律の声に、ますます耳と頬の温度が上がる。泣きそうだと言っていた切なげな表情はもう鳴りをひそめているようにも感じる。
「…嫌な気持ちを隠してるとか、我慢してるとかでは…ない?」
怜花はこくんと頷いた。ただ、気付いただけなのだ。律がいない間に家のことを全てやっておくのは、律のためというよりはむしろ、もっと甘えた理由があったことに。
「…ちょっと安心した。」
「…と、とりあえず離して。律も行く準備して。」
「やっぱり教えてはもらえない?」
「…律のせいじゃないし、ただ私が…甘ったれてるっていうか、そういう恥ずかしい話だから。」
「ってことはさ、絶対可愛い話じゃん。じゃあ準備、さっさと済ませるから終わったら聞かせてね?洗い物もありがとう。」
律はそっと怜花の頬に唇をつけた。不意打ちのキスにハッとして振り返ると、いたずらな笑顔を浮かべた律がいた。
「やること終わったらソファに集合ね。」
それだけ言い残すと、鼻歌交じりの軽快な足取りでキッチンを後にする。怜花は一度手を洗い流し、自分の頬に触れた。わかっていたが熱い。
(…律の声に弱すぎる…私。ちょっと甘えた声になるんだもんな…あれを意図的にやれるかもしれないのが声優の怖いところ…。)
隠したところで最終的には暴かれてしまう。そもそも、律は見なかったふりをすることができる人なのに、怜花に対してそれをしないと決めたのだ。怜花が見せないようにした涙も、重たくて行き場のない気持ちも全て拾い上げてきた人が、今更教えてくれなくてもいいよ、とは言わない。それをわかっているのに、初手で出てしまう行動は『逃げ』なのだからどうしようもない。
(…何て言ったら、少しはマシに聞こえるのかな。)
自分の中に生まれた、まるで少女漫画のヒロインのような乙女心ともいえる気持ちは、恥ずかしくて直視したくないのに、言葉にするために直視しなくてはならない状況に追い込まれて、怜花ははぁと深くため息をついた。
「っ~…!」
律はあえて低く、甘えたように囁いた。怜花の耳はみるみるうちに赤く染まった。手には食器とスポンジがあり、手を拭くことができなくて逃げられもしない状況で、怜花は首を限界まで曲げて下を向いた。
「白状するまでやめないぞ~。」
「耳元で言うの、ずるい…!」
「怜花も俺の耳元で白状する?それでも全然いいけど。」
余裕たっぷりの律の声に、ますます耳と頬の温度が上がる。泣きそうだと言っていた切なげな表情はもう鳴りをひそめているようにも感じる。
「…嫌な気持ちを隠してるとか、我慢してるとかでは…ない?」
怜花はこくんと頷いた。ただ、気付いただけなのだ。律がいない間に家のことを全てやっておくのは、律のためというよりはむしろ、もっと甘えた理由があったことに。
「…ちょっと安心した。」
「…と、とりあえず離して。律も行く準備して。」
「やっぱり教えてはもらえない?」
「…律のせいじゃないし、ただ私が…甘ったれてるっていうか、そういう恥ずかしい話だから。」
「ってことはさ、絶対可愛い話じゃん。じゃあ準備、さっさと済ませるから終わったら聞かせてね?洗い物もありがとう。」
律はそっと怜花の頬に唇をつけた。不意打ちのキスにハッとして振り返ると、いたずらな笑顔を浮かべた律がいた。
「やること終わったらソファに集合ね。」
それだけ言い残すと、鼻歌交じりの軽快な足取りでキッチンを後にする。怜花は一度手を洗い流し、自分の頬に触れた。わかっていたが熱い。
(…律の声に弱すぎる…私。ちょっと甘えた声になるんだもんな…あれを意図的にやれるかもしれないのが声優の怖いところ…。)
隠したところで最終的には暴かれてしまう。そもそも、律は見なかったふりをすることができる人なのに、怜花に対してそれをしないと決めたのだ。怜花が見せないようにした涙も、重たくて行き場のない気持ちも全て拾い上げてきた人が、今更教えてくれなくてもいいよ、とは言わない。それをわかっているのに、初手で出てしまう行動は『逃げ』なのだからどうしようもない。
(…何て言ったら、少しはマシに聞こえるのかな。)
自分の中に生まれた、まるで少女漫画のヒロインのような乙女心ともいえる気持ちは、恥ずかしくて直視したくないのに、言葉にするために直視しなくてはならない状況に追い込まれて、怜花ははぁと深くため息をついた。



