夜を繋いで君と行く

* * *

 あっという間に出来上がり、テーブルには湯気が立ち上った。

「いただきます!」
「いただきます。」

 ずずっと麺をすする律は、一口食べると美味しさに顔を綻ばせた。

「はー…うまっ…店じゃん。」
「んー…やっぱり野菜が多いと美味しい。」

 怜花は野菜から先に咀嚼する。スープがゆっくりと体を温めてくれる。

「あっという間にできるのにこんなに美味いんだ。…すごいね。」
「焼きそばとかも今日使ったタイプのあるよ。パスタも、もちろんスープ作ろうと思えば作れるけど、あっためたパウチのものかけるだけって感じでも充分食べれるし。」
「…毎度思うけど、生活の知恵がすごい。本当に俺、何にも知らないんだなーって新鮮に驚いてる。」
「私が知らないことを、律も多分たくさん知ってるよ。」
「そうかなぁ。全然敵わないなって感じするけど。」
「…敵わない、かぁ。私、それは律に対していつも思ってるけどな。」
「敵わない?どこが?怜花に負けちゃうとこばっかじゃない?そもそも俺がべた惚れな時点で、怜花の勝ち確定してると思うんだけど。」
「…そういうところね。」

 怜花は麺をすすって、頬の熱を逃がすことを試みる。こうやってまっすぐな気持ちをそのまま差し出されることには極端に弱い自分を知っている。視線を律に移すと何もわかっていない顔をした律が『ん?』と言った。律のストレートパンチが来る前に話題を変えるべく、怜花は口を開いた。

「というか、クリスマスイブの前なのにちゃんぽんってその、ちょっと変だったね。今日寒かったからすごく口がちゃんぽん食べたいってなっちゃってそうしたけど。」
「美味しいし、いいよ全然。…っていうか、クリスマスらしいことができないのは、俺のせいなんで…。」

 突然一気にトーンがダウンして、律は深いため息を零した。

「仕事なんだから仕方ないでしょ、それは。」
「三澄は昼過ぎのステージ終わったら即帰宅。25日死守済み。しかも仕事納め28日とか言っててさ…。確かに年末の配信には出ないって言ってたけど。」
「年末の配信?」
「…そう。事務所の声優で年越し配信やってて。…若手だけだと可哀想かなって思って、出ることにしてた。…怜花と出会う前っていうか、出会ってはいたけど、二人でちゃんと話したりする前の自分が…仕事を入れてました。」