夜を繋いで君と行く

* * *

 12月21日(水)13時半を少し過ぎた頃。都内某所、和食の美味しい店にて、2人の男が向かい合っていた。

「何でも食べてください。」
「いや怖!何?なんで敬語!?」

 無表情な律を目の前に、慌てたのは三澄の方だった。律はそのまま静かに頭を下げた。

「…この前はお騒がせしました。…助かった。ありがとう。」

 律がそう言うと、三澄は口元を緩めて微笑んだ。

「どうなったかは、聞いてもいいの?」
「どうなった、かー…うーん…そういえば、彼女になってくださいとは言ったけど、うんみたいな返事はもらってなかったかも。」
「えっ!?」
「…まぁそのくらい、なんていうか…三澄たちと違って、俺たちは上手くないんだよ。」
「上手くない?」

 三澄の問いかけに、律はメニュー表を見ながら頷いた。

「たとえば、椎名さんは頑張ってだとは思うけど、ちゃんと相手に好きですって言えて、同じように三澄は言い返せるし、同じ熱量で受け取れるんだと思うんだけど。」
「うん。」
「…難しいんだよね、俺たちは。言うのがっていうよりは、受け取るのが下手なんだよ。相手が投げたものを、ちゃんと受け取れない。だからボールを落として、拾いそびれて、怜花をあんなぼろぼろにしちゃった。」

 2日間でしっかり食べさせ、眠らせて、かなり顔色は良くなったものの、落ちた体重は怜花の普段食べる量から考えてもすぐには戻らないだろう。もっと早く何かできていたのかもしれないという、今更どうにもできない後悔がよぎって少し苦しくなる。

「確かにやつれてたね。バーベキューの時は元気だったし、里依さんに聞く話でも元気な人で、何でもできるスーパーマンってよく言ってるなぁ。でも、二階堂が絡むと、スーパーマンではいられなくなっちゃうんだね。」
「…それって俺、悪影響じゃね?てか三澄、頼んだの、がっつり。何でも食べていいし、お土産に椎名さんの分とかも包んでいいよ。」
「いいって。普通には食べるけど、過剰には要らない。」
 
 三澄はメニューを眺めながらそう言った。三澄を見つめると、律の口からはふっと小さくため息が溢れた。

「…三澄みたいだったら、ちゃんと拾えて、ちゃんと返せたんだろうなぁとは思ってるよ。怜花もよく言う。…里依みたいにはなれないって。」

 二階堂が何気なくそう言うと、三澄の表情が少しムッとしたものに変わった。