夜を繋いで君と行く

* * *

「いただきます!」
「いただきます。」

 パチンと元気よく、律の手が重なった。フレンチトーストにそっとナイフが刺さって、柔らさゆえに少し切りにくく、最後はちょっと無理やり千切って口の中に放り込んだ。律は相変わらずの大きな一口で、それが怜花をより一層安心させてくれた。

「美味い!あったかぁ…やっぱりこのできたてのあったかさなんだよなぁ。」
「…ちょっと甘かったかな。」
「そう?甘くて美味いじゃん。」
「甘いの、結構平気なの?」
「うん。甘いの、平気っていうか割と甘くても飲めるし食べれるよ。一人でケーキとか食べに行ったりしないってだけで。」
「…そうなんだ。」
「なんで?」
「あ、いやあの…完全に見た目と先入観で喋るから気を悪くしないでほしいんだけど…。」
「何言われても平気だって。あ、ブラックコーヒーとか飲んでそうな感じって思ってた?」

 怜花は頷いた。ブラックの缶コーヒーが似合うなと思ってしまうし、甘いものを食べてそうなイメージはあまりなかった。

「まぁブラックも飲めないことはないけど、別に好きってわけじゃないなぁ。怜花は甘さ控えめの方が好きなの?」
「甘さ控えめの方が量が食べれるかな。甘すぎるものはいっぱいは食べれないと思う。」
「そっか、なるほど。今はいっぱい食べてほしい期間だから、甘すぎるものはNGってことね。このフレンチトーストは、怜花的に言って甘いレベルはどのくらい?」
「中の上、かな。」
「それならまぁ、大丈夫か。食べれそう?」
「うん。美味しい。クラムチャウダーも久しぶりに食べた。…冬はクラムチャウダー、よく作るのにまだ作ってなかったなって思って。」

 怜花は小さなカップを両手で持って、クラムチャウダーの香りを吸い込んだ。アサリの香りも好きだが、人参や玉ねぎが小さく刻まれてとろとろになっていて、食べると口当たりが良くてほっとするところも好きだった。

「よく作るんだ?他には?季節でよく作るものが違うんでしょ、きっと。」
「そうだね。旬の野菜が違うし、価格も変わるから。でもスープ系は自分が好きだからよく作るよ。寒くなってきたらクラムチャウダーもミネストローネも、ポトフも好きだな。オニオングラタンスープも結構好き。1品でお腹いっぱいになるから。」

 あんなに上手く食べれないでいたのに、今はパクパクと何でも食べてしまっているし、こうして料理の話までしている。お腹の空きはどんどんなくなっているのに、次に作りたいものは次々に浮かぶ。

「…食べてんのにお腹空く。全部絶対美味しいやつじゃん。」
「うん。具沢山で作りたいね、どれも。」

 そして一緒に食べたい。そう続けることはなんだか気恥ずかしくてできなかった。