「…自信が、ないのかも。こうしたいって、里依には言えるけど…。」
「うん。」
律の胸に抱かれたままで、顔が近いから上手くは上げられず、律のスウェットの胸元のあたりを掴んだまま、怜花は口を開いた。
「…でも、律もちゃんと聞いてくれる人だから、…したいこと言うようにする。」
「…うん、そうして。まず何しよっか。」
律の声が柔らかく弾む。少しだけ顔を上げると、いつもよりも子供っぽくて可愛い笑顔にぶつかった。律が怜花を軽く抱きしめたまま、ゆっくりと体を起こした。
「…ご飯をね、作りたい。ちゃんと食べたい。」
「うん。昨日、何も食べずに寝ちゃったもんね。うわでも何があったかなー…あ、食パンはあるな。バターもあるからトーストはできるかも。」
「砂糖、置いてあったと思うんだけど使っちゃった?」
「ううん。残ってるよ。」
「あとは卵と牛乳があったら、フレンチトーストできるよ。」
「フレンチトースト!食べたい!」
一気に目が輝いた律に、怜花は微笑む。二人で迎えた最初の朝に食べたフレンチトーストを、今は作ってあげたかった。そして一緒に食べたかった。律があの日に『またやろうね』と言った言葉を、叶えたかった。
「…またやりたかったから、嬉しい。早速叶えてくれるじゃん。」
「…覚えて…た?」
「忘れるわけないでしょ。今度はちゃんと浸すところから見たいから、全部一緒にやろう。先生、よろしくお願いします。」
あの日も何度も『先生』と呼ばれた。先生と呼ばれるほど腕がいいわけでも、他人に料理を振舞ってきたわけでもないのに。それでもどんな手順も楽しそうに律がやるから、怜花もつられて笑っていた。律と並ぶキッチンには、そういう温かさがあった。あの場所に戻れる。そのことが怜花の心を軽くする。
「あ、でも牛乳も卵もないや。ちょっとコンビニ行ってくるよ。」
「私が行こうか?」
「怜花はだめー。何のための休みだと思ってる?本当は俺が全部作ってあげたいところだけど、まずいもんは食べさせたくないし、あと普通に怜花に近くにいてほしいからキッチンにはいてもらうけど。フレンチトーストやるまでは顔洗うとかそういうのはいいけど、それ以外のことは禁止。ベッドかソファーの上で動かないこと。体力使うの禁止です。」
「…過保護だよ。」
「過保護でいいの。とにかくまだたくさん動かないで。元気になったら、全部一緒にやろう、何でも。」
「うん。」
律の胸に抱かれたままで、顔が近いから上手くは上げられず、律のスウェットの胸元のあたりを掴んだまま、怜花は口を開いた。
「…でも、律もちゃんと聞いてくれる人だから、…したいこと言うようにする。」
「…うん、そうして。まず何しよっか。」
律の声が柔らかく弾む。少しだけ顔を上げると、いつもよりも子供っぽくて可愛い笑顔にぶつかった。律が怜花を軽く抱きしめたまま、ゆっくりと体を起こした。
「…ご飯をね、作りたい。ちゃんと食べたい。」
「うん。昨日、何も食べずに寝ちゃったもんね。うわでも何があったかなー…あ、食パンはあるな。バターもあるからトーストはできるかも。」
「砂糖、置いてあったと思うんだけど使っちゃった?」
「ううん。残ってるよ。」
「あとは卵と牛乳があったら、フレンチトーストできるよ。」
「フレンチトースト!食べたい!」
一気に目が輝いた律に、怜花は微笑む。二人で迎えた最初の朝に食べたフレンチトーストを、今は作ってあげたかった。そして一緒に食べたかった。律があの日に『またやろうね』と言った言葉を、叶えたかった。
「…またやりたかったから、嬉しい。早速叶えてくれるじゃん。」
「…覚えて…た?」
「忘れるわけないでしょ。今度はちゃんと浸すところから見たいから、全部一緒にやろう。先生、よろしくお願いします。」
あの日も何度も『先生』と呼ばれた。先生と呼ばれるほど腕がいいわけでも、他人に料理を振舞ってきたわけでもないのに。それでもどんな手順も楽しそうに律がやるから、怜花もつられて笑っていた。律と並ぶキッチンには、そういう温かさがあった。あの場所に戻れる。そのことが怜花の心を軽くする。
「あ、でも牛乳も卵もないや。ちょっとコンビニ行ってくるよ。」
「私が行こうか?」
「怜花はだめー。何のための休みだと思ってる?本当は俺が全部作ってあげたいところだけど、まずいもんは食べさせたくないし、あと普通に怜花に近くにいてほしいからキッチンにはいてもらうけど。フレンチトーストやるまでは顔洗うとかそういうのはいいけど、それ以外のことは禁止。ベッドかソファーの上で動かないこと。体力使うの禁止です。」
「…過保護だよ。」
「過保護でいいの。とにかくまだたくさん動かないで。元気になったら、全部一緒にやろう、何でも。」



