永遠の絆*

パパが帰ってくるたび、スーツからは甘い甘い香りがいつも染み付いていた。

あの頃の私は、その匂いがいい匂いって思っていたけど、今になると漸く分かった気持ちに襲われる。


甘い甘い女の香水。


あの匂いだけは忘れない。

染み付いて染み付いて、パパの部屋にも広がるくらいの甘い匂いだった。

あの頃の私にでも分かるくらいだからママなんて全て知っていたのに違いない。


パパが突然出て行った所為で、まだ新しく買った家のローンは馬鹿みたいに溜まっている。


パパの居場所なんて分からない。

ただ、テーブルの上に一枚の紙切れだけ置いてあったのは覚えている。


パパの名前が刻まれていた―――…


大きくなるにつれてそれが何なのか漸く分かってきた。


…――あれは離婚届けだったんだと…。