好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 大勢の人の中に紛れて、私たちはすぐに追いかけてきた女の子たちを撒けた。
 人に見つかりにくい角で立ち止まり、やっと一息つく。
「玄さん……茜さま、何をしたんですかね……?」
「わからん。問い詰めてみる」
 玄さんがスマホをポケットから取り出そうとして、私たちは手を繋いだままのことに気づいた。
 急いで、パッと手を離す。
「す、すみません」
「いや。こっちもすまん」
 なんとなく気まずい雰囲気になってしまって、私は「周り見てきますね!」と玄さんと距離をとった。
 きょろきょろと見渡すと、玄さんを探してるっぽい女子が何人かいた。
 これじゃ、見つかるのも時間の問題かな……。
「玄さん。もうちょっと見つかりにくいところへ移動しましょうか」
「あぁ。ちょうど茜から、こんなのが届いた」
 そう言って、玄さんはスマホの画面を見せてくれる。
【ごめん玄兄! 理由はあとで説明するから、今許可をとったここへ移動して〜】