好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 私の言葉を遮った、黄色い声。
 な、なんだなんだっ……?
 驚きながら、私はそちらへ視線を移動させる。
 その、黄色い声をあげた人は一人ではなかった。何人もの女の人たちがきゃぁきゃぁと声をあげている。
 その人たちが見てるのは──私たち?
 いや、私とは視線が合わない。ということは……玄さんか。
 私はこそっと玄さんに聞いた。
「あの……知ってる人ですか?」
「いや。知らない……はず」
 玄さんは騒がられて嫌そうな顔をしている。
 知ってる人でないなら、どうして……?
 今までチラチラ玄さんを見る人はいても、こんな騒がれるのは初めてだ。
 その時、玄さんのスマホが鳴った。
 玄さんはスマホを手に取り、見たとたんチッと舌打ちする。
「やられた。茜だ」