「受け取れません! せめてお金払わせてください……!」
「いや……受け取ってくれたら助かる」
 ぐいぐいと、指輪を押し返される。
 でも……家政婦が主に奢られるなんて、絶対ダメなことだと思うのですが!
 負けずに押し返していると、玄さんが不安そうな瞳で私を見た。
「……迷惑か?」
 うぐっ。そんな瞳で見つめられると言い返せない……。
 そもそも、プレゼントしてくれるのは素直に嬉しいし……。
「……ありがとう、ございます」
 ついに押しに負けて、私は指輪を受け取った。
 玄さんがほっと息をつくのが見える。
 私は早速、指輪を左手の人差し指へつけてみた。
 ぴったりなサイズだ。お店のライトが指輪を照らして、真ん中にはめられている宝石がきらっと光る。
「かわいい……」
 ぽつんと呟くと、玄さんが「よかった」と笑った。