好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 ほっとしていると、茜さまはまた私にぐぃっと顔を近づけた。
「それにしても、超美少女だね〜。初めて会った時もかわいいとは思ったけど、今回は外人っぽい見た目だから……神秘的? に見える」
「え? あ、ありがとうございます……?」
 急にそんなことを言われてびっくりしたけれど、本人が真顔だったのでこういうセリフ言うの慣れてるのかな〜と思い気にしないことにした。
 すると、茜さまは私と玄さんを見比べる。そしてなんか思いついたようにパッと笑顔になった。
「そうだ、柚希ちゃん。玄兄にここを案内してくれない?」
 え……?
 目を見開く私と同じように、玄さんも「は?」と声をあげる。
 な、何を言っているの……?
「玄兄はこういう建物へ行く経験が少ないから俺が教えてあげようと思ったんだけど、玄兄は俺の言うこと聞かないし〜。柚希ちゃんが案内してくれたら助かるんだよね!」
 え、えぇっ……。
「じゃ俺見たい映画あるから! よろしくね〜!」
 私が戸惑っているうちに、茜さまは人混みに紛れて見えなくなってしまった。
 そんな……どうすれば……。
「……すまん。あいつはああいうやつなんだ、昔から」