好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

　そ、それはダメっ……！
「はぁ？　俺が知るはずないだろ……」
　不機嫌そうにこちらを向いた玄さんと、運悪く目が合ってしまった。
　あ……や、やばい。
　私の予想通り、玄さんは「お前……」と言葉を口にする。
「柚希か？」
　だ、だよね。さすがに、真正面で目が合うとわかりますよね……。
　うぅ、瞬殺でバレちゃった……。
　茜さまは、玄さんの言葉を聞いて「あー！」と納得したように声を出した。
「あの、新しく来た……雨雅柚希ちゃん？　そうだ、その子の声だ〜！　……で、なんでそんな格好を？」
　あなたたちを尾行するためです……なんて言えるわけないし、ここはやっぱり陽宙くんの時にやったように誤魔化すしかないっ！
「コスプレが好きでして……」
「へぇ〜っ！　じゃあ、俺たちと会ったのは偶然なんだ！　もしかして、コスプレ好きってことバレたくなかった？　そうだったらごめん」
「あ、あはは……」
　そっちの思考へ持っていって納得してくれて、よかった……。