好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

「君、どこかで俺たちと会ったことあったっけ?」
「えっ……」
 バ、バレてる……!?
 いや、わざわざ訊くってことは完全にはバレてないってことかな……。
 なんでわかったのかは知らないけど、ここでバレるわけにはいかないっ……!
「ど、どうしてでしょうか? 会ったことないと思いますけど……」
「声。やっぱり、誰かにすっごく似てるんだよ」
 声で……?
 そんな、玄さんならともかくまだ一言二言ぐらいしか喋ってない茜さまにバレるなんて……どれだけ耳が良いのだろう。
「ねぇ、その目と髪……本物?」
「え、えっと……」
「ウィッグとカラーコンタクトだよね?」
 わかってるなら訊かないでくださいっ……!
「ねー玄兄、この子会ったことない?」
 茜さまは、なんとつまらなそうにお店の方へ視線を向けていた玄さんに話しかけた。