そう心に決めていると、杏さんが立ち止まって前にあるドアを開く。『調理場』と書いてあるドアを開いた先から、何やら甘い匂いがただよってきた。
「あ、こんにちは杏さん!」
「今玄(はじめ)さまたち用のマフィンがちょうどできたところなんだけど、杏さんも味見しますか?」
なるほど……この甘い匂いは、マフィンが焼けた匂いだったのかっ……!
杏さんに挨拶したのは、二人の男の子だった。黒のタキシードみたいなのに似合わないカラフルなエプロンをつけていて、どちらもすごく顔が整っている。
歳が近い男の子って、きっとこの子たちのことだよね……。
「ってあれ、後ろにいる子だーれ?」
あ……私のことだ!
私はピッと背筋を伸ばして前に出てから、頭を下げた。
「こ、こんにちは。今日から一緒にお仕事をさせていただきます、雨雅柚希ですっ。まだまだ未熟でたくさん頼ってしまうと思いますが、よろしくお願いします」
よし……言えた。
恐る恐る顔を上げると、水色の髪の男の子がきらきらした目でこっちを見ていた。
「えー、新人!? 僕らと同い年ぐらいなのにめっちゃ礼儀いーい、何歳? 何年生?」
「えっと……、十二歳、中学一年生です」
「同い年だ! 僕、桜水陽宙(さくらみずひそら)。よろしくね〜」
「あ、こんにちは杏さん!」
「今玄(はじめ)さまたち用のマフィンがちょうどできたところなんだけど、杏さんも味見しますか?」
なるほど……この甘い匂いは、マフィンが焼けた匂いだったのかっ……!
杏さんに挨拶したのは、二人の男の子だった。黒のタキシードみたいなのに似合わないカラフルなエプロンをつけていて、どちらもすごく顔が整っている。
歳が近い男の子って、きっとこの子たちのことだよね……。
「ってあれ、後ろにいる子だーれ?」
あ……私のことだ!
私はピッと背筋を伸ばして前に出てから、頭を下げた。
「こ、こんにちは。今日から一緒にお仕事をさせていただきます、雨雅柚希ですっ。まだまだ未熟でたくさん頼ってしまうと思いますが、よろしくお願いします」
よし……言えた。
恐る恐る顔を上げると、水色の髪の男の子がきらきらした目でこっちを見ていた。
「えー、新人!? 僕らと同い年ぐらいなのにめっちゃ礼儀いーい、何歳? 何年生?」
「えっと……、十二歳、中学一年生です」
「同い年だ! 僕、桜水陽宙(さくらみずひそら)。よろしくね〜」

