奏さまは、株式会社sayukiの社長。波原さんと同じ三十代後半ぐらいの歳のはずなんだけど、二十歳ぐらいに見える綺麗な人なの。
お仕事が忙しいから部屋にこもっていて、私は会ったことなかったから……、声を聞くのも初めてだ。
「これは、俺の意思で決めたことだ。父親のあんたがどう言っても、それは揺らがない」
今度は玄さんの声が聞こえる。
何の、話……?
部屋の中は、何やら重々しい空気が漂ってそうだ。
玄さんの、すっと息を吸う音が聞こえた。
「前にも言ったが。俺は──株式会社sayukiの社長には、ならない」
「……っ」
え……!?
思わずひゅっと息を呑む。その気配を感じとったのか、奏さまが「誰だ!」と叫んだ。
ば、バレたっ……!
私はあわてて駆け出す。窓が都合良く開いていたので、窓枠を飛び越えた。ってここ、二階だった……!
あわてて受け身をとる。中庭の草陰に隠れた。
息を潜める。でも、一分、二分、十分経っても、私のところに人は来ない。
お仕事が忙しいから部屋にこもっていて、私は会ったことなかったから……、声を聞くのも初めてだ。
「これは、俺の意思で決めたことだ。父親のあんたがどう言っても、それは揺らがない」
今度は玄さんの声が聞こえる。
何の、話……?
部屋の中は、何やら重々しい空気が漂ってそうだ。
玄さんの、すっと息を吸う音が聞こえた。
「前にも言ったが。俺は──株式会社sayukiの社長には、ならない」
「……っ」
え……!?
思わずひゅっと息を呑む。その気配を感じとったのか、奏さまが「誰だ!」と叫んだ。
ば、バレたっ……!
私はあわてて駆け出す。窓が都合良く開いていたので、窓枠を飛び越えた。ってここ、二階だった……!
あわてて受け身をとる。中庭の草陰に隠れた。
息を潜める。でも、一分、二分、十分経っても、私のところに人は来ない。

