「あ、あはは……」
 そうはいかないんだよなぁ……。
 情報を集めるために、私は玄さんの近くにいなきゃいけない。
 そう思うと同時に、ふと気になったことがあった。
「……ね、翔くん」
「ん?」
「もしすごく近くいる人が敵だったら……どうする?」
 いきなりそんな質問された翔くんは、目を見開く。そして、うーんと考える仕草をした。
「ご、ごめんね、急にこんな質問」
「全然大丈夫。えー、もし敵だったからかぁ。人によるかなぁ」
「人による……?」
「うん。だってさ、好きな人や親友とかならともかく、ただ近くにいるあんま喋ったことない人だったら敵だとしてもどうでもいいもん」
「え……」
 翔くんの言葉に、私は心の中の霧が晴れたようなそんな気持ちになった。
 あまり喋らない人ならどうでもいい、か……。なら、私がそんな大切な存在にならなければ、私は玄さんたちを悲しませないでいられるのかな?