違う仕事をしてきます、と言おうとしたら、遮られてしまった。
 えっと、玄さま、今「呼び捨て」って……言った?
 言葉の意味がわからず、首を傾げる。いや、わかるんだけど、なんで玄さまが私にその言葉を言ったのかが分からない……。
「呼び捨て。柚希、『玄さま』じゃなくて『玄』って呼んで」
「えっ?」
 つまり、私が玄さまのことを呼び捨てしろと……!?
「む、無理ですよっ! 主と家政婦の関係なので!」
「──俺、そういうの嫌いなんだよね」
 き、きらっ……?
 そういうのって、なに? この、主従関係のこと?
 玄さまはベッドの上に座り、私をまっすぐに見据えた。
 その視線が鋭くて、ごくっと唾を飲み込む。
 ──これ、逆らっちゃダメだ。
 直感で、そう思った。
「……せめて、玄さんで」