受け取ってくれて、ひとまずほっと息をつく。
 でもハンカチにじわっと滲んだ血が痛そうで、息をついてる暇じゃないなと思った。
「えっと、大丈夫? 傷深い……?」
「……いや。浅い」
「咲地、だいじょぶ? 絆創膏買ってくる?」
「菌が入っていたらいけないから、一応洗っときなさいね。今日はもう料理は手伝わなくていいわよ」
「……すみません」
 暗い顔をしながら、調理場を出ていく春雷くん。
「……大丈夫かな」
 私はそれを見送りながら、ぽつんと呟いた。
 陽宙くんは私の言葉を聞いて、「多分大丈夫だよ」と微笑む。
「そういえば、咲地が女子と喋るの初めて見たな〜」
「そうなの?」
「うん。咲地は女子がいないところで育ってきたから、慣れないんだろうね。でも、柚希ちゃんなら大丈夫なんじゃないかな、きっと」
 私なら大丈夫……? それは、どういうことだろう……。