実行委員長さんの言葉に、こくこく頷く私。
 台本係にはなれなかったけど……司会者じゃなければなんでもよかったから、雑用係になれてよかった……!
 台本係第一希望の人たちは、教室の端に集まってジャンケンを始めた。
 私は黒板に実行委員長さんが書いていく名前を目で追って……ピタッと固まる。
 雑用係のところに一番最初に書かれた、その名前は──『沙雪玄』。
 え……ど、どうしよう……! 玄さまも、雑用係だ……!
 学校が同じで同じ実行委員になって、しかもそのやる仕事までもが同じって……そんなのあり!?
 パッと玄さまの方向を見ると、あちらも黒板に続けて書かれた私の名前に気づいたみたいで、じーっと私を睨んでいた。
 怖いっ……! それにやらかしちゃった日にこんなことになるなんて……神様のいたずらとしか思えない! いや神様そんな暇じゃないかっ。
 頭がパニック状態になっていて、一人ツッコミをしていると翔くんに「よかったの?」と訊かれた。
 よ、よかったって……何が?
「台本係にならなくて」
 あ……そっちか!
 私はと深呼吸をして心を落ち着かせたあと、頷いた。
「うん。そもそも絶対になりたいってわけじゃなくて。だから、雑用係になったことは全然いい……んだけど」