「過去に戻りたい〜っ!」
 そんなことを言いながらぎゅっと抱きついてきた紗奈ちゃん。
 過去に戻りたい……? どうして……?
 首を傾げる私と紗奈ちゃんを見比べて、苦笑いをする翔くん。翔くんは紗奈ちゃんの言葉の意味が分かってるみたいだ。
「私があの時断ってなければこんなことになってなかったのに!」
「断って……? あ、実行委員を決める時のこと……?」
 それにしても、こんなことってどういうことだろう?
 もしかして紗奈ちゃんは、優しいから私が推薦されたのは自分の責任だと思っているのかな……?
「紗奈ちゃん、大丈夫だよ。実行委員になると決めたのは私だし、絶対いやってわけじゃなかったから」
「それもあるけど〜!」
 「違うの!」と言いガクガク私の肩を揺らす紗奈ちゃん。
 違うの……? じゃあどうして……?
「これから合唱祭まで、翔と二人きりの時間が多くなるんでしょ〜!? そんなのやだよぉっ、私の柚希ちゃんなのに!」
 そう言われて、私は戸惑う。
 た、確かに、翔くんと居る時間が長くなると思うけど……。