梨花(りか)ちゃんだ。クラスの中心的存在で、気の強いお洒落な女の子。
 梨花ちゃんは、こんなに視線が集まっているのにひるむ様子もなく、かわいらしく笑っている。
「それなら、翔くんがいいと思います! 明るいし、なによりリーダーシップもあるから、みんなを引っ張ってくれる存在になれると思います!」
「えぇっ、俺?」
 名指しされた翔くんは、驚いた声をあげる。みんなの視線が今度は梨花ちゃんから、翔くんへ集まった。
 確かに、翔くんならいいかもしれない……。
 納得する私と同様に、周りも「翔くんなら任せられるよね」と賛成の声をあげる。
「はーい、静かに静かに! ということなんだが、赤木、どうだ?」
 先生が一回みんなを黙らせてから、翔くんへ訊いた。
 翔くんは困ったように笑いながらも、どこか嬉しそうだ。
「えーっと。せっかく俺を推薦してくれたんだし、俺でつとまるならやらせてください!」
 そう言い切った翔くんに、パチパチと拍手が起こった。
 私も、その拍手に加わる。
 みんなの前でそんなはっきり言えるなんて……翔くんはすごいな。
「じゃあ、赤木、よろしくな。あと一人、女子はどうする?」