「おはよ〜っ、柚希ちゃん」
 学校へ登校して机にバッグを置いていると、親友・青山紗奈(あおやまさな)ちゃんが声をかけてくれた。
 紗奈ちゃんは小学校からの付き合いで、ぱっちりとした目が特徴的のかわいい女の子。確か学年で一番モテているって噂を聞いたことがある。
「おはよう! 紗奈ちゃん」
「うん。あれ柚希ちゃん、ちょっとお疲れ気味? 表情が少し疲れてる」
「えっ、本当?」
 あわててペタペタと顔を触る。お疲れ気味……、今日の朝のことで疲れちゃったかな……。
 朝は玄さまに抱きしめられちゃって逃走したあと、杏さんが作ってくれたおいしい朝ごはんを食べて、そのあと掃除をしたりとやっていた。
「体調に気をつけてね? ただでさえ細いんだから〜っ」
「わっ、ちょ、紗奈ちゃんっ……!」
 バッと抱きつかれて、私は倒れそうになりながらもなんとか受け止める。
 えへへっ……やっぱり紗奈ちゃんはかわいいな。
「まーたやってんの。紗奈、あまり柚希に迷惑かけないようにしてよな〜」
 二人でわちゃわちゃしていると、男の子の声が乱入してきた。
 私たちはそっちへ視線を移動する。紗奈ちゃんはその子を見て、むーっと口を尖らせた。