ほ、本当に起きないなこの人っ……!?
 朝がよっぽど弱いんだろうなぁと、目の当たりにして実感した。
 だけど……どうしよう。
 私の呼びかけじゃ起きそうもないし、杏さんか陽宙くんを呼ぶ? けど、それぞれには仕事があるし、邪魔するわけにはいかない……。
 いや、でも私が起こせなかったせいで玄さまが学校へ遅刻してしまったら大変だ……!
 そう思い、私はいったん誰かを呼んでこようと部屋を離れようとする。
 すると玄さまに背を向けた瞬間、ぐいっと手が引っ張られた。
 えっ…………?
 私は突然のことに、バランスを崩す。
 まずいっ……完全に油断してた!
 せめて受け身だけでも……って、このまま受け身とったら玄さまに倒れ込む形になる!?
 どうしようっ……と思ってるうちに、私は重力に抗えるはずもなく背中から倒れた。
 ぎゅっと目をつぶる。けれど、思った衝撃はなく……ふわっと包み込まれる感覚。
 …………?
 恐る恐る目を開ける。