そっか、アラームを三十分前の六時に設定してたから……。
 なんだ、よかった……。
「まだ十分前だから仕事をしなくてもいいんだけど……せっかく全員そろったなら、もう始める?」
 ほっと息をついた私に向かって、杏さんがそう言う。
 うん……初めての仕事だから素早くこなせるか分からないし、学校に遅れたら大変だから、早めに始めちゃいたいな。
 こくこく頷く私と同様に、陽宙くんと春雷くんも頷く。
 その反応を見て、杏さんは微笑んだ。
「なら、咲地は洗濯、陽宙は食堂の掃除。私は主さまたちとみんなの朝ごはんを作りますね。柚希さんは……玄さまを起こしてきてくれる?」
「えっ……」
 玄さまを……?
 驚く私に、陽宙くんがこそっと教えてくれる。
「玄さまは、アラームをかけても起きないほど朝に弱いんだ。だから、毎朝起こしに行くのも僕たちの仕事なの」
 な、なるほど……!
 陽宙くんの言葉に、納得する。
 ちょっぴり気が引けるけど……仕事のうちならやらなきゃいけないし、情報を引き出せるチャンスかも……?