ピピピピッ、ピピピピッとアラームの音で目が覚める。
　閉めていたカーテンから少しだけこぼれた朝日が眩しくて、私は顔をしかめた。
　アラームを止めてゆっくりと起き上がり、伸びをする。そして周りを見回して、見慣れない景色に目を疑った。
　ベージュ色の壁紙。白い上等なものであろう家具。そして私が今眠っていたベッドはふっかふかのもので、カーテンも布の周りにかわいいレースがついているものになっている。
　あれ……、そういえば私……今日から……。
　昨日のことを思い出した瞬間、さぁぁっと血の気が引いた。
　仕事だっ！　やばい、遅刻しちゃう……！
　私はあわててベッドから降り、パジャマから仕事用の服に着替え、身だしなみを洗面所で整えた。
　初日から遅刻するわけにはいかない……！
　急いで部屋を出て、 調理場へと向かう。すると予想通り、もう杏さんや陽宙くん、春雷くんは来ていた。
「おはよう、柚希さん」
「おはよ〜！」
「おはようございますっ……ごめんなさい、私、遅刻して……」
「あら？　まだ十分前だから、遅刻してないわよ？」
　杏さんの言葉に、「え」と目を見開く。急いで時計を見たら……、本当だ。まだ六時二十分。