私はガッチガチに緊張しながら、周りを見回した。
玄さんと両思いになって、みんなが私のことを受け入れてくれたという奇跡なような出来事があってから、もう一週間ほど。
土曜日、私は人気の少ない道でとある人を待っていた。
時刻は、たった今ぴったり十一時になった。
来るかな……? と思う。あの人は、約束の時間ぴったりに来るから。
「雨雅柚希。何の用だ」
や、やっぱり、来た……!
私はその人を見つけ、背筋を伸ばす。
その人とは──波原さん。
メールで今日会えないですかと言って、呼び出したんだ。もちろん……スパイをやめたい、波原さんとは縁を切りたいと伝えに。
自分のことを今まで育ててきてくれた人に、いきなりそんなことを言うなんて、自分勝手なことはわかってる。
でも、波原さんは私が縁を切りたいと言ったら……あっけなく頷いてくれる気がするんだ。
波原さんは、私のことひとつの道具としてしか扱ってないと思うから。
「なんだ、雨雅柚希。電話じゃダメなほど、よっぽどいいニュースなんだろうな」
どうやら波原さんは、私が沙雪家から情報を仕入れてきたと思ってるみたい。
玄さんと両思いになって、みんなが私のことを受け入れてくれたという奇跡なような出来事があってから、もう一週間ほど。
土曜日、私は人気の少ない道でとある人を待っていた。
時刻は、たった今ぴったり十一時になった。
来るかな……? と思う。あの人は、約束の時間ぴったりに来るから。
「雨雅柚希。何の用だ」
や、やっぱり、来た……!
私はその人を見つけ、背筋を伸ばす。
その人とは──波原さん。
メールで今日会えないですかと言って、呼び出したんだ。もちろん……スパイをやめたい、波原さんとは縁を切りたいと伝えに。
自分のことを今まで育ててきてくれた人に、いきなりそんなことを言うなんて、自分勝手なことはわかってる。
でも、波原さんは私が縁を切りたいと言ったら……あっけなく頷いてくれる気がするんだ。
波原さんは、私のことひとつの道具としてしか扱ってないと思うから。
「なんだ、雨雅柚希。電話じゃダメなほど、よっぽどいいニュースなんだろうな」
どうやら波原さんは、私が沙雪家から情報を仕入れてきたと思ってるみたい。

