そんなことを訊かれて、私は目を瞬いた。
 私が……一番一緒にいたい人……?
 考えたとたん、頭に浮かんできたその人。
『……沙雪玄。中三』
 初めて会った時の、鋭い瞳。
『柚希、「玄さま」じゃなくて「玄」って呼んで』
 呼び捨てを提案してくれた時。
『……ありがとう』
 お手伝いしたいと伝えた時の、なぜか泣きそうな顔。
『柚希か』
 私を見つけた瞬間、ふっと緩むその表情。
 ……気づいてしまった。
 好きだ。私──玄さんのこと、好きなんだ。
 顔がさっき以上に熱くなる。胸から熱いものがこみあげてくる。
 玄さんが、「柚希?」と不安そうに私を見つめた。