駆け足で、勢いよくドアを開ける。
 俺は柚希の手を引っ張ると、父さんに「俺が決める」とかなんとか言って、柚希を連れ出した。
 繋いだ手から、柚希の体温がつたわってくる。手、小さいな……とささいなことでも愛しく感じた。
 俺の部屋に連れてくると、戸惑っている柚希をイスに座らせた。
「あ、あの……玄、さん……?」
 柚希が混乱しているように俺を見る。
 あぁくそ……その顔もかわいい。
 恋って、自覚したらこんな頭がおかしくなるのかよ……。
 でも、柚希には笑顔が一番似合っている。
「何があった?」