自分が恋愛をするなんて、信じられない。けれどなぜか……柚希のことを好きという気持ちが、やけに腑に落ちた。
 そうか……俺は、もうとっくに……。
「って、あれ? え? もしかして自覚してなかったタイプ?」
 驚いて声を失う俺を、茜が目を丸くして見る。俺は頷いた。
 茜に言われるまで、全く気づかなかった。
「え、えぇ? じゃ俺の勘違いじゃん、ごめん玄兄」
「──いや」
 俺は首を横に振った。
「今気づいたが……柚希のこと、好きだ」
 正直に伝えると、茜は目を見開く。そして、にっと笑った。
「気づいてよかったね。……もちろん、行くんでしょ玄兄?」
「あぁ」
 せっかく自覚したのに、柚希にもう会えないなんて……そんなの、耐えられない。
 俺は礼を言うと、茜が教えてくれた部屋へ向かった。