「何を言ってるんだ、君──」
「父さん!」
 その瞬間響いた、大きくて澄んだ声。ドアがバンッと開けられた。
 え……こ、この声っ……!
 声のしたドアの方を見る。──前に手を引っ張られて、ぎゅっと後ろから抱きしめられた格好になった。
 驚いて、相手の顔を見あげる。
 すると、やっぱり……玄さん、だった。
「玄?」
「父さん。こいつのことは俺が決める」
 玄さんはそれだけ言うと、私の手をぐぃっと引っ張って部屋を出た。
 私は戸惑いながらも、玄さんについていく。
 玄さん……私のこと嫌いになったはずなのに、どうして来てくれたの……?