「うーん……俺にとっては、玄兄は怒ってるんじゃなくて、何か違うことを思ってしてるんじゃないかなって思うんだけど……」
「え? それってどういう──」
「茜。そこに雨雅柚希って子いる?」
 茜さまの言葉に首をかしげる私の声を遮ったのは、茜さまでもなく、ドアの向こうの声だった。
 私を探してる……?
 声に、聞き覚えはない。いや、よく考えたらあるような……?
「父さん? うん、いるけど……」
 と、父さんっ……!?
 そっか、ならこの声は……奏さまだ!
 でも、なんで奏さまが私を……?
 不思議に思っていると、奏さまはドアをすごい勢いで開け、私を睨んだ。
 冷たい瞳。ぞくっと背筋が凍る。
 な、なに……?
「柚希さん? これはどういうことかな」
 奏さまは、持っていたスマホの画面を私に見せる。