……そして、陽宙先生の的確な指導の結果、お菓子作りは順調に進んで……。
「はい、これで……できあがり〜!」
「できたぁっ……!」
 時刻は午後二時三十分。うん、いい時間帯だ!
 陽宙くんは茜さまと玄さんと、一応奏さまようによもぎ餅を取り分けたあと、残りのやつを大きいお皿に並べる。
 早速そのお皿へ手を伸ばした春雷くんを、陽宙くんは「ダーメ!」と止めた。
「手を洗って、エプロンを脱いでから!」
「はいはい、わかったよ」
 めんどくさそうな春雷くんの返事。兄弟みたいな会話で、思わずくすっと笑ってしまう。
 陽宙くんの言う通り手を洗い、エプロンを脱いでから私たちはよもぎ餅を食べ始めた。
 小さいやつを手に取り、一口食べてみる。
 すると口に入れたとたん、広がる爽やかな味。それでいて、ほろ苦くもある。でもすぐに中に入れてある餡が甘さで打ち消してくれた。もちっとしていて、美味しい。
「わ〜、想像以上に上手くできたかも!」
「美味いな、これ」
「ね! すごく美味しいっ……」