怪しまれないように、気をつけないと……！
　開いたドアの先には、豪華なシャンデリアで明るくてらされている、高級そうなテーブルとイスが並べられている部屋があった。壁紙が赤で、すごく上品な雰囲気。そしてとてつもなく広い。
　そのイスに座っている、二人の美男子さんがこちらを見た。
　肩まである長いクリーム色の髪、燃えるような赤い瞳、そしてなぜか和服の、中性的な見た目をした男の子。
　サラサラな黒い髪、ひんやりとした群青色の瞳、少し着崩したパーカーの、王子さまみたいな男の子。
　どちらもこの世界のものだと思わないぐらい、顔が整っている。
　思わずひゅっと息を呑んだ。杏さんが、その人たちに向かって頭を下げる。
「食事中に失礼します。今お時間よろしいでしょうか？」
「俺は別にいーよー」
「……俺も」
　「ありがとうございます」と言ってから杏さんが少し下がり、私が前に出る。
　なので、自然と私に視線が集まった。
　き、緊張、する……。
「お初にお目にかかります、今日から家政婦として働かせていただく雨雅柚希です……！　よろしくお願いします」
　ぺこりと頭を下げてからまた上げると、にこにこと微笑んでる赤い瞳の人と、無表情でこっちを見てる群青色の瞳の人がいた。