好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 必死な様子で話をそらされて、気になるけれども玄さんと茜さまについての話も気になった。
 茜さまが、玄さんを……?
 それは……あってるかはわからないけれど、身に覚えがあるようなないような……。
 前、ショッピングモールでの玄さんが女の子に追いかけられた事件。あれ、帰りの車の中で聞かせてもらったんだけど……最初私に声をかけてきた男の人が「ここに沙雪茜がいる」と言いふらしちゃったみたいで、茜さまは女の子に追いかけまわされたんだって。
 けれど、それじゃ映画もゆっくり見えないから「玄兄は今婚約者を募集している」と言って女の子たちの興味を玄さんに向けた……らしい。
 ……実の兄に──しかも玄さんにそんなことできるなんて……茜さま、恐るべし。
「まぁ、逃げるのが当然だろうね〜。玄さんが怒ったら、正座で説教二時間コースだもん」
「二時間っ……?」
 しかも、正座でって……私が知る限り一番怒らせちゃいけない人だ。
「すごいよね〜! 怒る玄さんも、二時間なんて結構きついはずだよ?」
「そ、それは確かに……」
 そんな他愛ない会話をしていると、もう寝る時間だ。
「陽宙くん、私もう寝るね」
「あっ、僕も〜!」
 二人で寮へ入り自分の部屋へ向かう。