好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 嬉しくなって、私も素早く玄さんの手を握り返す。風が強く吹き、私の髪を揺らした。
 握った手から伝わってくる熱。手、大きいな……と今さらながら思った。
 雲が動いたのか、なんとなく暗かった屋上は太陽によって明るくなる。
 玄さんは、ふと何かを思いついたようにまた口を動かした。
「……ただ、柚希」
「は、はいっ?」
「俺、一度気に入ったら離してやらないけど──大丈夫?」
 にっといじわるそうに笑った玄さん。
 わわっ、これも初めて見る表情……って、ときめいている場合じゃなくて!
 えっと……それは、どういうことでしょうか。
 小さく首をかしげる。その反応を見た玄さんは少し声を出して笑った。
「なんでもない」
「えっ……」
 気になりますよ〜!
「玄兄〜! 柚希ちゃ〜ん! 大丈夫〜?」