「でもね、私は「違うよ莉奈。」

言い終わる前に遮る奏多。

「思い出したら、湊に行っちゃうの?
俺との思い出は無かったことになっちゃうの?」


そして後ろから湊が「奏多。莉奈怖がってるよ。勢い付けすぎ。」

「黙れ、いいよな、湊は、ずっと両思いだったんだから、!でも俺は……っ」

「……」

「記憶失くした時に漬け込んでしか莉奈の記憶の中に入れない、でももうこうなったら引き下がれない。」


「奏多……」必死に顔を歪める奏多に心臓がドクンドクンと音を鳴らす。

湊の方を見ると確かに安心する。

だけど、それ以上に深く記憶に残っているのは紛れもなく奏多と過ごした時間。


「ごめん湊……自分勝手でごめん、」

「え……?」
湊の低い声が鼓膜を突く。


「私……やっぱり奏多と居たいのかも、」

声がどんどん掠れていく。涙も頬を伝っていく。

次の瞬間湊の方を向いていた私は
抱きしめられる。もちろん背後にいるのは

奏多。

強く、もう離さないという念が込められたような力強さで。