どっちの愛も、重すぎて息ができない。

「湊が好き?」

奏多の声は怖くて冷たい。

「そう、そうだよ。思い出したの。昔のこと、私湊のこと……」

いい終える前に背中が壁にドンッとぶつかる
奏多が壁まで追いやってきたのだ。

「それ以上言わないで、莉奈。」

奏多は息を切らして寂しそうな瞳を揺らしていた。

「せっかく、莉奈が俺を見てくれるようになったのに、なんで思い出しちゃうの?」

「奏多、ちょ、苦し……っ」

「莉奈は俺だけ見てればいーの。湊なんかに渡さない、記憶も全部俺が消してやる。」


指先が頬に触れる。優しいけど、独占欲にまみれている。

「怖い……奏多、っ」