どっちの愛も、重すぎて息ができない。

湊は窓際の席で教科書をめくっていた。

『湊くんって勉強出来そうだよね〜』
『自己紹介ん時めっちゃ弄られてたのにね〜』

なんて小声で噂をしている。
湊はそんな声も耳にせず淡々と教科書に
目をくれていた。

なのに、

湊が振り向いて、ふと目が合った。
その時湊が教科書をパタンと閉じて、
席を立ち上がった。

『え?こっち来る?こっち来る?』

とザワめいていたクラスの子だけど、
湊が近づいてきたのは、私の方──


「莉奈。」
「うえ……、?」不意に名前を呼ばれて
クラスの子が一斉にこちらを見る。

ど、え、みんなに見られてる……は、恥ずかしい……、!