「別に何もしてないよ、」 「分かってる。でも莉奈は優しいから、優しすぎるから。押されたら流されるんじゃないかって、」 流される……、? 奏多は歩きながら、自然な動作で私の手を握る。ぎゅっと……強く。 「だから、俺だけ、俺だけが隣にいればいい。」 「奏多、」 太陽の光に照らされる奏多の笑顔は どこか寂しそうで、だけど綺麗で。 手の強さがどんどん強くなって独占欲が丸見えになってくる。 どうして、安心しないといけないのに、 胸がどんどん苦しくなる。