どっちの愛も、重すぎて息ができない。

朝、登校時間。

ぼんやりした頭で玄関を開けて、歩き出すと
そこには人影が。

「おはよ。莉奈。」

「え……奏多?」

通学路の角で彼が、奏多が待っていた。
爽やかな笑顔なんだけど、少し影がある。
心臓がドクリと跳ねた。

「ごめん、どうしても会いたくて、
一緒に行こう?」

「……ああ、朝はごめんね。でもどうしたの?」

奏多の目が優しく細められた。

「なんとなく不安になって、」
「……不安?」

「昨日、湊と屋上にいたでしょ?」

一瞬だけ息ができなくなった。
──どうして知っているの?