どっちの愛も、重すぎて息ができない。

ついに本番がやってきた。

観客席は満員で、ざわめきの中幕が上がる。


練習の時よりもずっと本気の奏多の声に
思わず胸が震える。


「姫を守るためなら、この命を懸ける」

その真剣な瞳に見つめられて、私は台本通りに答える。

「私を守るなんて……あなたに、そんなことをさせられません」

観客が息をのむのがわかった。
でも――。

ラストシーン、台本では「抱きしめる」だけのはずだった。
なのに…