どっちの愛も、重すぎて息ができない。

『楽しそうだな』

不意に声がして振り返るとそこには湊が

いつの間にか練習を見られていたらしい。

「奏多、台詞違う。騎士はもっと"優しく"姫に誓うんだよ。貸せ。」

そう言って湊は奏多から台本を奪って

「莉奈、こっち来て」

「うえ…?」

返事をする前に手を取られ奏多の前で演技を始める。

「…姫を守るためなら、この命を懸ける。
だって俺はお前のことが"好き"だから」

最後の台詞は台本には書かれていないアドリブだった。