玄関先、奏多はいつもの優しい笑顔を浮かべながら口を開いた。

「ご、ごめん。急に。心配になって」

「心配?」

「今日、湊と一緒にいたでしょ?
あいつ、何か言ってなかった?」

ドキリと胸が鳴った。
というか、、見られてたんだ、


『やっぱり、忘れてるんだな』
湊の声が頭の中で響く。


「う、ううん。別に。」

そう答えてみせると、奏多は少し安心したような顔で微笑む。

「よかった。あいつ昔からお前に変なこと言ってたから。」

「……昔から?」

「あ、なんでもない。気にしないで
とにかく、湊の事は忘れろ。莉奈には俺がいるんだから。」

そっと優しく私の頭を撫でる。

「ねえ奏多。私と湊ってそんなに深い関係だったっけ?」

勇気を出して質問すると奏多の動きがピタリと止まった。