どっちの愛も、重すぎて息ができない。

「俺ならさ、もっと自由にしてあげられるよ。」

低く甘く、優しい声。でも瞳の奥は笑っていない。


「まあでも…"俺の隣から離れなければ"っていう条件でね」


ゾクリと、背筋が震える。

「小さい頃からずっと思ってたよ。莉奈は俺のものだって、」

耳元に顔を近づけて、囁くように続ける


「奪われるくらいだったら、閉じ込めてもいい。」


ごくりと息を呑む私に湊はさっきとは打って変わって、柔らかな笑みを浮かべた。

…何故だかその笑顔がすごく怖い。

「大丈夫だよ。怖くない。俺といれば幸せになれる。」

そう言って手を差し伸べる湊。私はその手を
ジッと見つめることしか出来なかった。