『二日後には家に帰って来る。だからその間、この家のことを頼んだぞ』

『お土産いっぱい買ってくるわね!』

『うん。行ってらっしゃい』

リズは二人を見送った後、寂しさを誤魔化すように歌いながら家の掃除を始めた。父親が家にいないことはたまにあったものの、母親まで家にいないのは初めてである。

(ちゃんと二人は帰って来るよね)

お土産を手に、笑顔で二人が帰って来ることをリズは信じて疑わなかった。しかしその日の夕方、夕陽が空の彼方へ沈もうとしていた時だった。

庭の畑に水をあげに外に出たリズは、黒いローブを着た複数人に取り囲まれて連れ去られた。その翌日にリズは人身売買のオークションにかけられ、そこで買われた主人から両親を乗せた豪華客船が海の底に沈んだことを聞かされたのである。



「L・G探偵事務所」の社長兼探偵であるレオンハルト・ジッキンゲンは忘れ物をしたことを思い出し、事務所へと足を運んだ。

(鍵が開いている?)

ドアに手をかけた時に鍵が開いていたため、レオンハルトは少し警戒をしながらドアを慎重に開ける。事務所にいた人物の後ろ姿を見て、レオンハルトは安堵した。