それから、涼ちゃんと言葉を交わすことはなくなった。
学校で見かけても、家にいても、喋らない。
でも、毎日――
涼ちゃんは、俺の分も弁当を作ってくれていた。
それだけが、唯一の楽しみだった。
ふたを開けると、きれいに詰められたおかず。
俺の好きな卵焼き。
ちょっと甘めの味付け。
「晴人、今のままでいいのか?」
大智が、真面目な顔で言ってきた。
俺は、少しだけ笑って答えた。
「涼ちゃんが笑ってるならいいよ。それに、群がる女子もいなくなって大智と2人きりの時間増えたしね」
そう言うと、大智も笑って「お前なー」って返してきた。
でも、 本当は少しだけ寂しかった。
涼ちゃんの声が、 聞きたかった。
「おはよう」とか、「おやすみ」とか、そんな些細な言葉でいい。
でも、関わらないのが最善だと思った。



