ある日。
脱衣所から、すすり泣く声が聞こえた。
そっと覗くと、涼ちゃんが肩に傷をつけて泣いていた。
声をかけると、 びくっとして振り向いた。
「なんでもないです」
そう言ったけど、その顔は “なんでもない”顔じゃなかった。
「俺のせい?」
そう聞くと、涼ちゃんは口をつぐんだ。
その沈黙が、すべてを物語っていた。
…俺のせいなんだ。
涼ちゃんは、俺の過去や噂や、周りの目や言葉に傷ついて、
こんなふうに泣いてる。
「顔も見たくない、出てって」
その言葉が、胸に突き刺さった。
信じられないほど、傷ついた。
俺は、涼ちゃんだけは守りたいって思ってたのに。
泣かせないようにしようって、そう決めてたのに。
結局、俺が泣かせてる。
今までのつけが、回ってきたんだと思った。
俺が積み重ねてきたものは、誰かを傷つけるためのものだった。
涼ちゃんの涙を見て、それを思い知らされた。



