美冬と付き合って、1年が経った頃だった。
学校の廊下。
何気なく通りかかったとき、聞こえてきた会話。
「美冬、いつまで柴崎と付き合ってんの」
「今回長くね?」
「だって晴人顔はかっこいいんだもーん。喧嘩もしなくなったし。まあでもそろそろ乗り換えかな」
「おっ、じゃあ次俺にする?」
――吐き気がした。
耳を疑った。
でも、確かに美冬の声が混ざってた。
笑ってた。
冗談かもしれない。 本気じゃないかもしれない。
でも、俺にはもう、そんな余裕はなかった。
美冬と過ごすようになって、 忘れてた感情が一気に蘇ってきた。
あの時の母さん。
あの時の裏切り。
結局、女は全員同じ。
優しくして、 近づいて、 笑って、そして裏切る。
期待するだけ、無駄だった。
信じた俺が、馬鹿だった。
美冬の絆創膏も、笑顔も、全部嘘に見えた。
心が、また荒れていくのが分かった。
俺は、もう誰にも期待しない。
誰のことも、 好きにならない。
それが、一番傷つかない方法だと思った。



